吉岡さんの弁護士日記

なにわ総合法律事務所の弁護士 吉岡 康博がつづる弁護士日記

レバレッジ型ETNについて説明義務違反を認める判決を取りました

以前に私のブログで紹介していた、レバレッジ型ETNに関する説明義務違反を追及していた裁判で、説明義務違反を認める判決を取得しました!
(津地方裁判所伊勢支部令和元年11月28日判決)

この商品の問題点については、私の過去のブログをご覧下さい。
http://toushihigai-naniwa.jp/blog/2019/02/post-116.html

この商品は、元となる原油の指数が上昇傾向にあれば2倍の利益が取れるという点で短期的な投資には向いているのですが、長期的に保有すると、原油相場が上昇と下落を繰り返した結果、この商品の価格は下がり続けるという特性があります(裁判では「本件複利効果」という言葉で呼びました)。
世の常として相場は上がり下がりを繰り返しますので、私はこの商品は長期保有に向いていないと考えます。

判決は、「原指数が上昇と下落を繰り返す局面において、原指数の動きと指標の動きが乖離し、原指数が元の水準に戻ったとしても指標は戻らない(本件複利効果)ということまでが当然に推測できるとはいえず、また、原告が本件複利効果まで理解していることを窺わせる事情は存しない。投資者が、投資商品に関する投資期間や売却のタイミング等を検討するについては、原指数と指標の関係を十分理解することが必要であるといえ、特に本件複利効果については、投資期間や売却の時期を決めるについて重要な要素である」などとして、本件複利効果について説明義務があることを認めました。

一方でこの判決は、7割の過失相殺を行ったり、理解しがたい理由で一部の損害について因果関係を否定しているので、原告本人と協議した上で名古屋高裁に控訴をすることにしました。

控訴審でも引き続き頑張ります!

日本郵政がNHKに圧力

令和元年9月26日付毎日新聞で,かんぽ不正販売問題に関して日本郵政がNHKに圧力をかけていたことが報道されました。

ことの始まりはNHKが平成30年4月にクローズアップ現代でかんぽ不正販売問題を取り上げ,続編を放送するためにNHK製作現場がツイッターで情報提供の動画を投稿したというもので,日本郵政は「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を与える」などと言ってNHK側に動画の削除を求めたという事件です。

問題なのは,クローズアップ現代放送後の平成30年6月にかんぽ生命が部長級幹部による社内会議を開き,かんぽ生命の契約について多数の苦情があったことが判明しているのに,日本郵政の経営陣は「現場の一部社員の暴走」と捉えて重要視しないまま,NHKに圧力をかけたものです。

通常,クローズアップ現代で不正販売が取り上げられたら,日本郵政の経営陣としては社内調査を徹底的に行うべきですが,同経営陣にそのような発想はなかったようです。

NHK側に圧力をかけた経営陣が今も日本郵政側に残っています。
金融庁と総務省はかんぽに対して報告命令発出や立入り検査を行っていますが,消費者目線での改革はほど遠いのではないかと思っています。

以下,報道記事に基づいてこの件に関する時系列をまとめてみました。
遅くとも日本郵政の経営陣は6月中に調査をして早急に謝罪すべきたったことは明らかで,経営陣も含めた会社ぐるみだったと言われても仕方がない流れになっています。

H30.4.24 NHKクロ現がかんぽ不正販売問題を取り上げる。

H30.6   かんぽ生命幹部による社内会議で多数の苦情があったことが判明。

H30.7.7  NHK製作現場がツイッターに情報提供を呼びかける動画を投稿。
H30.7.10 NHK製作現場が再度動画投稿。
H30.7.11 日本郵政がNHK上田会長宛に動画の削除を申し入れ。「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を与える」とのこと。
このころ NHK番組幹部が郵政に出向き「番組制作と経営は分離し、会長は番組制作に関与しない」と説明。
H30.8.2  日本郵政が「最終責任者が会長であることは明らか。NHKでガバナンスが全く利いていないことの表れ」と主張し、説明を求める文書を上田会長に送付。
このころ 郵政が続編の取材を断る。
 NHKが8月上旬に続編延期を決め,動画2本を削除。

H30.10.5 郵政がNHK経営委に「ガバナンス体制の検証」などを求める文書を送付。
H30.10.23 NHK経営委が上田会長を厳重注意。郵政側に「会長に厳しく伝え、注意した」とする文書を送付。
H30.11.6 上田会長が郵政に事実上謝罪する文書を届けさせる。内容はH30.7の番組幹部の発言について「明らかに説明が不十分。誠に遺憾」というもの。

R1.6.ころ かんぽの不正販売に関する報道が相次ぐ。

R1.7.31  郵政グループ三社の社長が記者会見で不正販売を謝罪。ただし「経営陣はR1.6ころまで重大な問題と意識していなかった」とのこと。
R1.7.31 NHKがクロ現で続編を放送。

残業代の消滅時効

会社が従業員にサービス残業をさせ、従業員から裁判で残業代請求される例が相次いでいます。

現在、残業代に関する請求権の消滅時効は2年とされています。

ただ、2020年に施行される改正民法の消滅時効に合わせて、残業代の時効も5年にすることが検討されているそうです。

現在でも過去2年分の残業代を一括請求されると事業者としてはかなり苦しいはず。
それが5年となると、支払いきれない事業者も出て来るのではないでしょうか。

残業代はきちんと支払うようにしましょう!

秋田弁護士殺害国賠訴訟で逆転勝訴

2010年11月4日未明,私の大先輩の弁護士である津谷裕貴先生が自宅で暴漢に襲われ殺害されるという痛ましく悲しい事件がありました。
この事件は,不審者が拳銃と剪定ばさみを持って津谷先生宅に侵入し,これに気付いた津谷先生の奥さまによる110番通報で駆けつけた警官2名が津谷先生を犯人と思い込んで押さえ込み,津谷先生を安全に避難させることをしないまま犯人が剪定ばさみで津谷先生の左胸を刺したというものです。

駆けつけた警官は警棒や耐刃防護衣を着用せず,どちらが津谷先生でどちらが侵入者かを津谷先生にも奥さまにも確認せず津谷先生を押さえつけた点や津谷先生夫婦を安全に避難させなかった点が問題であるとして,遺族が秋田県等に対して損害賠償請求訴訟を提起していました。

第1審である秋田地方裁判所は,駆けつけた警官に過失はないとして原告の秋田県に対する請求を棄却しました。
判決は「秋田県では凶悪事件の発生が少なく、突発的な事案に対応できるだけの訓練や意識の涵養(かんよう)が十分でなく対応できなかったと考えるのが相当」などと述べていましたが,これでは地方都市の警官が市民を守る義務が軽くなってしまいます。

これに対して控訴審では,警棒や耐刃防護衣を着用しないまま現場に臨み,誰が不審者かを確認しないまま津谷先生を取り押さえた点や,犯人が一旦応接室に行き剪定ばさみを取りに行った間に津谷先生夫婦をパトカー等に避難させることができた点などを指摘して,駆けつけた2名の警官の過失を認定しました。

控訴審で逆転勝訴できたことで私も安堵しましたが,犯人が応接室に行った間に津谷先生を避難させることができたはずだと思うと,今でも悔しくてたまりません。

管理組合に追徴課税!?

マンション管理新聞という業界新聞の8月5日号に,とあるマンション管理組合が携帯基地局の収入について5年分さかのぼって法人税等を徴収されたという記事が載っていました。

このマンションは,9年前に携帯電話会社と契約して携帯基地局を設置,以後基地局収入を受け取っていたのですが,最近になって地元税務署の指摘を受けて,時効に掛かっていない過去5年分の申告を指示され,法人税のほか,事業税,住民税を賦課されたとのことです。

この記事によれば,税務署と管理会社が何度も打合せを行い,親切に指導してくれたため,税理士に依頼せず自力で申告できる知識が付いたという管理組合の感想が書かれていましたが,過去五年分の法人税には過少申告加算税として年15%が加えられていたということで,かなりの税金を取られたのではないかと思います。

マンション管理組合が携帯基地局を設置していれば,それは収益事業に該当しますし,外観上,携帯アンテナがあることは容易に分かりますので(本件も税務署が独自調査した結果,指摘をしてきたらしいです。),このマンションのようになる可能性は十分にあります。

そのような収益事業を行っているマンション管理組合は,この機会に対応を検討するのがよいかも知れませんね。

レジデンシャルワン事件第2次訴訟の判決が出ました

レジデンシャルワン事件については,このブログでも何度か取り上げてきましたが,平成23年4月28日,弁護団が提起した第2次訴訟の判決が言渡されました。

判決は,高木証券の各営業員のレバレッジリスクに関する説明義務違反を認めるとともに,一部の営業員が法廷で「「『不動産が全般的に値下がりすると出資者の損失が大きくなる』ことを説明した。」と証言した点や陳述書で「『借入れをしてマンションをたくさん買っているので,それらが全部下がれば出資金の減り方が大きいこと』を説明した。」と述べている点について,信用できないとしました。

その上で,投資家が支払った出資金と手数料から実際に受け取った税引き後の配当金,償還金を引いた金額を損害とした上で,その7割と弁護士費用相当額としてこれに対する1割の金額について,高木証券に支払義務があると判断しました。

認められなかった3割については,一般にリターンの高い商品はリスクも高いのが世間の常識であるといった理由から過失相殺(投資家の自己責任)とされました。

本件のように,販売をしていた営業員の大半がレバレッジリスクを理解していなかった事案で投資家に3割の過失があるとした点は,弁護団として不満がありますが,第1次訴訟と異なり,投資家が支出した金額から実際に受け取った金額を引いたものを損害額とした点では,第1次訴訟の判決から一歩前進したと言えます。

引き続き第3次訴訟も裁判終結を向かえます。

最後の最後まで気を抜かないようにして頑張ります!

無届社債券募集に対する課徴金納付命令勧告について

平成23年4月15日,鉱山開発会社と名乗るワールド・リソースコミュニケーションに対して,証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を発出するよう勧告(勧告自体は内閣総理大臣と金融庁長官に対して行われます。)を行いました。

ワールド社は,元々アフリカントラスト,アフリカンパートナーの名前で高利をうたった自社の社債券の販売を行っており,高齢者を中心に勧誘していました。

同社には,本当に鉱山開発事業の実体があるのか,甚だ疑問なのですが,これまでに国民生活センターや消費者庁も実名を公表して消費者に対して注意喚起を行ってきたところです。

にもかかわらず,同社は,社債販売を続けていたようで,今回の勧告となりました。近日中に正式な処分が下されると思われます。

課徴金の金額は,1億9468万円と極めて高額です。

当面は,今後の動きを見守りたいと思います。

CFD取引業者が逮捕されました

昨日(平成23年1月12日),大阪でCFD取引会社を経営していた者ら8名が大阪府警に逮捕されました。

元々彼らが経営していた会社のCFD取引については,もう2年以上前に私が立て続けに高齢の被害者の方々から相談を受けて示談交渉に当たったことがあります。

この事件は,CFD取引という投資取引をかたって高齢者からお金を集めたが,投資取引の実体はなかった(すなわち詐欺)というものです。

この間,新聞で色々と報道されたり,警察の強制捜査があったりして,「こんなことを続けていたら,早晩逮捕されるのでは。」と思っていました。

少し捜査に時間が掛かってしまったようですが,この8名が逮捕されたことにより,今後は,刑事裁判でこの事件の全貌が究明されることを切に願っています。

CFD取引という取引業自体は,平成23年1月1日から許可制に変わりまして,一定の要件を満たして国が許可しないと営業できなくなりましたので,今後は,CFD取引をかたって詐欺行為をすることは非常に難しくなったといえます。

ただ,悪質業者は今後も色々な手口を考え出して,私たちの前に現れることでしょう。

私たち1人1人がこのような悪質業者に騙されないように注意するのも大切ですが,それ以上に周りの人達(特に高齢の独り暮らしの方など)が騙されることがないよう,注意してあげることが必要です。

離れて暮らしている自分の家族は大丈夫だろうか,近所の独り暮らしのおばあちゃんは大丈夫だろうか,そして声をかけてあげること。今の時代には,このようなことが必要になっているのだと感じます。

秋田弁護士殺害事件について

11月4日未明,私が尊敬する津谷裕貴先生が自宅で刺殺されるという痛ましい事件が起きました。
この日の朝,私はいつものようにインターネットでニュースを見ていたのですが,この事件の報道に接し,体がブルブルと震えました。

津谷先生は,私が所属する日弁連の消費者問題対策委員の委員長をされており,先物取引被害問題全国研究会でも過去に代表をされ,常に重要な仕事をされていました。

私が思い出すのは,何年か前に津谷先生の地元の秋田で全国研究会があったときに,前日の夜,「秋田で一番おいしいきりたんぽを食べさせてあげる。」と言って,お店に連れて行っていただいたことです。
このときにご馳走になったきりたんぽがとてもおいしかったのも記憶に残っているのですが,津谷先生が私の前に座って色々なお話を聞かせていただき,「こんな偉い先生が自分みたいな人にざっくばらんに話をしてくれるんだ。」と感激したことを鮮明に覚えています。

思えば,私が駆け出し(今でもそうですが)のころに全国研究会に行くと,いつも津谷先生は,私の顔を覚えてくれていて,にこやかに挨拶をして下さいました。

委員長になられてからは,大変な激務をこなされており,「お体は大丈夫だろうか。」「事務所の仕事との両立は大丈夫なんだろうか。」と勝手な心配をしていました。

ところが,こんな形で津谷先生が命を落とされるとは。

報道によると,犯人は,津谷先生が過去に受任した離婚事件の相手方で,津谷先生が犯人から拳銃を奪ったところ。自宅に駆けつけた警官が津谷先生を犯人と勘違いして取り押さえてしまい,それがきっかけで犯人に刺されてしまったそうです。

警察の対応に問題があるか否かは,いずれ明らかになると思いますが,もう二度と津谷先生が帰って来られることはありません。

津谷先生のご冥福をお祈りいたします。

ホームページ活用セミナーを開催します!

私のホームページとブログは,制作からコンサルティングまでビーオースタジオ Benzoの川添社長にお願いして開設してもらいました。
今でも更新などについて川添社長から色々指導してもらっています(^^;)。

その川添社長と私とで,「法律事務所向けホームページ活用セミナー」を開催することになりました。

日時:11月9日(月)午後6時30分?
場所:京都弁護士会館
  (ビーオースタジオさんは京都弁護士会協同組合の特約店でもあります)

私がホームページ・ブログを活用して得た効果や,ホームページを活用するまでの過程などをお伝えしようと思っています。

もちろん,その原点はビーオースタジオさんにありますので,エッセンスは川添社長がお話しすることになります。

Benzoのホームページにも案内があります。
http://www.ben-zo.jp/index.html

川添社長は,「法律事務所のホームページの目的は,相談者の『集客』ではありませんよ!」と言っていますね。
ホームページに対するこれまでのイメージとちょっと違うセミナーになるかと思います。

自分で言うのも何ですが,必見ですよ(^^;)。
(「絶対損はさせません。」とか言ってしまうと,断定的判断の提供になってしまうんでしょうか。)

資料は,今作っている最中ですが,ようやく8割くらいできました。

あと数日で申し込み締め切りですが,

・京都近郊(大阪・兵庫・滋賀の方も参加できます。)の弁護士
・現在,ホームページはあるものの活用できていない弁護士
・ホームページを開設したいが具体的なイメージが持てない弁護士
・近い将来,独立をお考えの弁護士

には面白くてためになる内容だと思います。

ご興味ありましたら足をお運びいただければ幸いです。

詳細・お申し込みは、Benzoのホームページで。
http://www.ben-zo.jp/index.html

レジデンシャル-ONE事件の裁判期日と原告団の交流会がありました

9月2日午後2時30分からレジデンシャル-ONEに関する第2次訴訟の裁判期日が大阪地方裁判所でありました。

第2次訴訟は,8人の原告で4月30日に提訴し,今回が第3回目の裁判期日となります。
現在,訴状に対して高木証券が認否を終えた段階で,今後具体的な反論がなされる予定です。

第2次訴訟の次回の裁判期日は,10月14日となりました。

裁判終了後,午後3時から大阪弁護士会館の会議室に場所を移して,原告団の交流会を行いました。

弁護団の弁護士と,原告及びその家族の方が自己紹介をして,今回のレジデンシャル-ONEの件に関するそれぞれの思いを述べ合いました。

「これまではひとりで悩んでいたけれど,同じ立場の人と話をすることができて,勇気づけられました。」とか,「私の話だけを聞くとあまりに奇異な話で『本当にそうなの?』と言われそうなのだけど,他にも全く同じ体験をされた人がいることが分かって,安心しました。」とか,原告の方々の色々なお話をお聞きすることができました。

安全な金融商品と思って購入したところ,保有資産の大半を失ってしまって,人生が一変してしまったという方も多く,改めて今回の事件の深刻さを感じました。

私たち弁護団も引き続き頑張っていくことを約束しました。

あなたの情報が漏れているかも・・・

先日,ある証券会社の元システム部部長代理が顧客の情報を名簿業者へ販売して流出させたことがニュースになりました。

金融機関の従業員が違法に情報を流出させること自体,あってはならないことですが,私の推測ではあるものの,これは,その証券会社だけではなさそうです。

現在,私が取り扱っている事件の中に,あるCFDまがい取引業者の被害者の方が多数おられるのですが,その被害者の方々に色々とヒアリングすると,共通点として,ある銀行で投資信託を購入していることが浮かび上がってきました。

これらの方々のほとんどは,最近の金融危機で投資信託が大幅に値下がりしているのを指摘されて,「何か投資はされていますか?」「ああ,銀行で投資信託を購入されているんですか。あれは駄目ですよ,銀行が勧めるものなんて。」「それに比べるとうちの商品は・・・。」と言って,投資信託を解約させるなどして,自社のCFDまがい取引にお金をつぎ込まされます。

突然勧誘を受けた被害者の方々は,訳の分からないものにお金は出せませんと言って一旦は断ります。しかし,「銀行が勧めるものなんて駄目。」といった言葉にはどうしても共感してしまうようで,業者の話に耳を傾けるようです。人間の心理をうまく突いていると言えるのでしょうか。

しかも,投資信託を解約すれば現金になるので,業者はこれをターゲットにすればよいのであって,苦労して勧誘しても「お金がありません。」と言われる心配もありません。

というわけで,私の推測の域を出ないのですが,私は,今回の証券会社以外にも金融機関の顧客情報は意外と漏れているのではないかと思っています。その情報が名簿業者などを介して悪質業者の手元に行ってしまった場合,あなたのところにも,聞いたこともない金融商品の訪問勧誘があるかも知れません。

どうか十分ご注意下さいますよう,お願いいたします。

投資被害110番を開催しました

以前にブログでもご紹介しました投資被害110番ですが,本日,大阪弁護士会で開催されました。

私は,消費者保護委員会の副委員長として,この110番の責任者だったので,1日中電話のある部屋に待機していました。

それ以外にも,消費者保護委員会の有志の弁護士11人に交代で待機していただきました。電話対応をされた弁護士の方々,そして担当をして下さった弁護士会の事務局の方,どうもお疲れ様でした。

 

この投資被害110番は,投資被害に遭われた(あるいはそうかも知れないと不安になっている)方からお電話をいただき,弁護士会が被害実態を調査するとともに,対応した弁護士が個別に相談に乗るというものです(もっとも,これは,実態調査がメインの目的ですので,実際に弁護士に依頼したいという方には,弁護士会による弁護士紹介の窓口をご紹介しています。)。

午前中にNHKの方が取材に来て下さり,お昼のニュースで紹介して下さったおかげで,午後からは電話が鳴り止まない状態が続きました。

 

現在,結果を集計しているところですが,昨今の金融危機を反映してか,投資信託に関する相談が多かったです。

中には,証券会社の外務員が投資経験の全くない高齢の女性に対して,数千万円単位で仕組み債を勧誘・購入させていた(すべて老後資金)というような事案もありました。

こんな事案は,到底自己責任を問えるものではありません。

 

私も何件か電話を受けさせていただきましたが,特に高齢者の方の悲痛なお話しには,聞いていて胸が痛くなるものがありました。

投資被害110番を開催します

私が所属している大阪弁護士会で,投資被害110番が開催されます。

http://www.osakaben.or.jp/web/event/2009/090130.php

(↑↑ 大阪弁護士会HPより ↑↑)

 

日時は,1月30日(金)午前10時?午後4時までで,相談受付番号は,06-6364-0295です。

 

ホームページには,大阪弁護士会消費者保護委員会員及び有志会員とありますが,当日は私もその1人として待機します。

もし,投資トラブルで悩まれている方がいらっしゃいましたら(あるいはご家族,お知り合いの方が悩まれているようでしたら),電話をしてみて下さい。

今回は,証券,先物取引,未公開株,ロコロンドン(CFD)など,何でも受付けています。

 

このような110番をしていますと,まれに「今,為替がいいって聞いているんだけれど,どうなん?」という投資相談をされる方がいらっしゃるのですが,このような電話はもちろん駄目ですからご注意下さい。

勝訴!

控訴審判決の際,弁護団で「勝訴」の垂れ幕を持たせていただきましたm(_ _)m。

 

実は,裁判所の敷地内では,垂れ幕や横断幕のようなものを出してはいけないというルールになっています。

私も判決を聞いてから,走って敷地外に出て,「勝訴」の垂れ幕を開きました。

 

被害者の方々が一斉に「やった!!」と叫ばれた声を忘れることが dtkhanketsu.JPGできません。

大和都市管財事件,国が控訴断念

本日,金融担当大臣から「大和都市管財国賠訴訟事件の控訴審判決について,上告を断念する。」という発表がありました。

 

「大和都市管財被害者弁護団」は,私が入っている弁護団の1つで,私が弁護士になって初めて起こった大規模消費者被害事件でした。

 

事件が起きたのは,平成13年4月です。

大和都市管財という抵当証券販売業者が破綻し,被害者約1万7000人,被害額約1100億円という被害が顕在化した事件です。

 

大和都市管財は,早い時期から自転車操業の状態にあり,監督官庁であった近畿財務局も問題視していましたが,にもかかわらず平成9年12月に漫然と大和都市管財の登録を更新してしまったため(大和都市管財のような抵当証券業者は,3年ごとに更新登録を受けなければなりませんでした。),翌年以降に新たに抵当証券を買った方々を原告として,平成9年12月に近畿財務局が大和都市管財の更新登録をしなければ,被害は拡大することがなかったとして,国を相手に損害賠償請求をしたという事件です。

 

訴訟は,平成15年に提訴され,平成19年5月に大阪地裁で国の違法性を認める判決が出ました。その後,国,被害者の双方が控訴する形で舞台は大阪高裁に移されました。

 

その判決が出たのが平成20年9月26日です。

結果は,被害者側のほぼ全面勝訴でした。

大阪高裁は,近畿財務局が「恣意的権限不行使(誤解を恐れずに言えば「わざと権限を行使しなかった」ということ。)」ことによって,大和都市管財の登録を更新し,生き延びさせてしまったことが違法であると断罪しました。

 

被害発生からずっと被害者の方々とともに戦い続けましたが,本当に心に残る判決でした。

 

国が上告を断念したことで,10月10日には判決が確定する予定です。

判決は,15億円を超える支払義務を国に認めるものとはいえ,弁護団に依頼された方々の被害額に比例して配当すると決して大きな金額にはならないかも知れません。

それでも,判決当日に裁判所に傍聴に来られた被害者の方々と喜びを分かち合えたことはとても大きかったと思います。

 

これから,大和都市管財国賠訴訟事件のことについても,少しずつ振り返りながら書き込みをしたいと思います。

プロフィール

吉岡康博写真

吉岡 康博(よしおか やすひろ)
大阪弁護士会所属

なにわ総合法律事務所
〒541-0053
大阪市中央区本町1-5-6 山甚ビル4階
TEL:06-4705-0325
FAX:06-4705-0328

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