悪質業者に指導するというジレンマ
先日,悪質な訪問販売の事件を受任しました。
「訪問販売」というとクーリング・オフが思い浮かびます。
しかし,特定商取引に関する法律によれば,契約書面などを業者が交付してから8日以内にクーリング・オフしなければならないとされていて,本件では2週間以上過ぎているのでダメそう。
もっとも,この法律によれば,きちんと法律・省令などで定められた事項を記載した契約書面などを業者は交付しなければならず,書面の記載事項が不十分だったときは,クーリング・オフの起算日は進行しないことになっています。
業者が依頼者に交付した書面を見ると,必要事項がきちんと記載されておらず(というかグダグダ),法定書面の交付とは到底評価できないので,まずはクーリング・オフを主張しようと思います。
問題は,私が書面不備を指摘すると,業者は必ずバージョンアップした書面を使って別の不当勧誘をしてくるので,結果イタチごっこになってしまうことです。
特に,丁寧に業者の書面不備を指摘すれば,私が業者側に交付書面のバージョンアップを指導しているようなものになってしまわないかと,ジレンマを感じてしまいます。
投稿者 吉岡 康博 | 2013年2月11日 20:18