吉岡さんの弁護士日記

なにわ総合法律事務所の弁護士 吉岡 康博がつづる弁護士日記

虚偽の法人登記!?

昨日は,日弁連消費者問題対策委員会の金融サービス部会の会合に参加してきました。

金融サービス部会では毎回色々なことを議論しているのですが,最近問題になっているのは,法人登記のことです。

どういうことかというと,私たちが詐欺的商法の被害者の方から相談を受け,相手方の会社の登記を調べると,取締役の名前が載っているのですが,それらの取締役は,名前だけで住所までは載っていません(代表取締役を除く。)。
法人に関する取締役の登記は,取締役が選任された株主総会の議事録と取締役が就任を承諾する書面を法務局に提出して登記します。
印鑑証明書などの提出は要求されていないので,極端な話しですが,誰かが実態のない株主総会議事録と就任承諾書を作成して,勝手に法務局に提出してしまえば,取締役に選任されたとして登記されてしまいます。

実際に,詐欺的な会社について取締役を被告として訴えを起こすと,その被告は,「取締役になることを承諾した事実はない。勝手にやられた。」と反論してくることも少なくありません。
それどころか,ダジャレめいた名前やまるでタカラジェンヌか何かのような名前の取締役の名前が記載されていると,「本当にそんな人物が存在するんか?」と疑ってしまうこともあります。

現時点の法制度では,架空の人物でも取締役として登記できてしまうのです!
(もちろん,こんなことをすれば公正証書原本等不実記載罪として処罰されますが。)

少なくとも取締役が実在し,真の就任承諾があることが前提となるような法人登記制度に改めるように,金融サービス部会を中心として活動をしています。

投稿者 吉岡 康博 | 2013年1月11日 20:14

プロフィール

吉岡康博写真

吉岡 康博(よしおか やすひろ)
大阪弁護士会所属

なにわ総合法律事務所
〒541-0053
大阪市中央区本町1-5-6 山甚ビル4階
TEL:06-4705-0325
FAX:06-4705-0328

テーマ
最近の記事