レバレッジリスクのかかった金融商品
レジデンシャルONEの集団訴訟については,このブログで何度か報告しているところですが,レジデンシャルONEの他にもレバレッジリスクがある金融商品がたくさんあり,最近,そのような商品に関連する相談をいくつか受けました。
まず1つ目は,「グランドプロパティ」という,匿名組合形式の不動産ファンドです。
このファンドは,レジデンシャルワンと同様,旧レイコフグループが組成・運用していたもので,パンフレットや目論見書の記載も非常に似ています。
投資家から集めた資金と銀行借入金とを合わせて不動産を購入し,賃料収入で運用するというところもレジデンシャルONEと同じで,満期が5年というところと,運用対象に居住用不動産だけでなくオフィスビル等が含まれているところが少し違います。
グランドプロパティ2号は,平成23年12月末で運用を終了し,まもなく償還を迎えるそうですが,償還金の大部分が毀損していることが既に販売証券会社から伝えられています。
高木証券の事案と同様,販売時にレバレッジリスクについて具体的にきちんと説明がなされていたかが争点になりそうです。
もう一つは,船舶に投資をする「EAGLE HOPE」という私募債です。
私募債とはいえ,その実態はファンドで,投資家から集めた資金の他,銀行借入金を合わせて大型船舶を購入し,傭船(船のチャーター)により傭船料で運用するというものです。
このファンドは,船舶の価格とドル円レートによって,元本が返還されるか否かが決定される仕組みになっています。勧誘時に交付された資料を見ると,シミュレーション図が書かれていて,「ドルがいくらで,船舶の減価幅がいくらまでなら元本確保,いくら以下になれば元本割れ」になるかは書かれています。
もっとも,元本割れになった場合に,どの程度の元本割れが起こるのか,資料からは読み取ることができません。
実際のところ,このファンドが投資している船舶は,銀行が競売を掛けたため,既に投資家の手元に返還される金額がゼロであることはほぼ確定しています。
重要事項説明書によれば,元本の「全てを毀損する可能性」があることは記載されているのですが,それだけでは不十分だと思われ,やはり勧誘・販売時にどこまで具体的に説明されたかが争点になりそうです。
双方とも,リターンは年2?3%程度の商品なので,リスクとリターンが見合っているのか(きちんと説明を受けていればこれらの商品を購入するという投資判断があり得るのか)というのも問題になりそうです。
いずれにせよ,こういった金融商品については,更に調査・研究をしていきたいと思っています。
投稿者 吉岡 康博 | 2011年12月 2日 19:54