「なぜ韓国は,パチンコを全廃できたのか」を読みました
久々の読書ネタです。
韓国をよく知る人に「韓国ではパチンコは禁止されている」という話しを聞いたことがあります。
私は,「韓国では元々法律でパチンコを禁止していたんだろう」と思っていましたが,この本を読んで,2006年まで韓国では日本と同様,たくさんのパチンコ店が営業をしていたことを知りました(「パチンコ」といっても日本と違って釘はなく,玉の代わりにメダルを使うそうですが,その他の仕組みは同じです。)。
その韓国では,マスコミが先導し,政治家が活動することにより,パチンコが法律で禁止されることになったそうです。
しかも,禁止後の警察当局の取締りも厳しく,ヤミでパチンコを営業していると,パチンコ台を没収された上に処罰されるという厳しい処分を受けるそうです。
私が不勉強だったのですが,この本を読んで知ったことがもう1つあります。
それは,「パチンコ依存症」という言葉です。
それまで私は,恥ずかしながらパチンコに毎日のように通う人を「ギャンブル好きがのめり込んでしまっている」という程度にしか捉えていませんでしたが,そうではなく,メンタル面の病気のようなもので,「やめたいと理屈では分かっていながらやめられない。」と言って本当に苦しんでいる人達がたくさんいることを知りました。
そういえば,たまに「母親がパチンコに夢中になっている間,駐車場に停められた車に放置された幼児が熱中症で死亡した。」といったニュースが報道されます。
私も「パチンコにうつつを抜かして,なんちゅう親や。母親失格。」という程度のことしか思っていませんでしたが,よくよく考えてみると,普通の人であれば,どんなに物事に夢中になっても,暑い中駐車車両に子供を放置することは,常識的にみてあり得ないことです。
このような母親は,きっとパチンコ依存症にかかってしまい,私たちが持っているような通常の判断能力を失ってしまった結果,可哀想にも車両に置き去りにされた子供を忘れてパチンコしか見えなくなってしまっていたのではないかと思います。
この本の著者は,パチンコ店に勤める従業員にも取材をしており,これまで毎日のようにパチンコに来ていた中年の女性が,日々身なりが貧しくなり,雰囲気もみすぼらしくなっていったが,それでも毎日通っていたと思ったら,ある日隣町のパチンコ店のトイレで首をつって亡くなったという話しが生々しく書かれていました。
私も,これまでよく知らなかったパチンコ依存症の問題について,しっかり考えてみようと思うきっかけになりました。
投稿者 吉岡 康博 | 2011年2月21日 17:38