投資詐欺事件について思うこと
先日,ある新聞で投資詐欺に関する記事を読みました。
その記事には,投資詐欺に遭った被害者の方の生々しい声が書かれた後,経済アナリストの方のインタビューで結ばれていました。
その記事の中で少し違和感を感じたことがあります。
経済アナリストの方は,「リスクをよく理解せずに投資に手を出してはいけない。」「周りの人に相談して欲しい。」というようなことを言われていました。
例えば,銀行に言って窓口行員の人に勧められるまま,リスクのことも考えずに投資信託を買って損をしたというのであれば,このお話しは妥当すると思います。
しかし,私が日ごろ接する未公開株詐欺やCFDまがい取引の詐欺事案の被害者の方は違います。
ほとんどの方が70代,80代の高齢者で独り暮らしです(しかも圧倒的に女性が多い。)。
こういった方には,別居している家族と接触する機会も年に数回しかなく,しょっちゅう顔を合わせて何でも語り合える友人もおらず,外出と言ったら1日1回のスーパーへの買い物というような「孤独」の中で詐欺業者から接触を受けた人が少なくありません。
また,誤解をおそれずに言えば,認知症とは言わないまでも判断能力に何らかの問題がある人もかなりいます。
私が相談中に「これは詐欺ですよ。」と言って説明し,よく理解されたはずなのに,数週間後にはまた同じ詐欺に遭ったり,私が業者から取戻したお金をお返ししたところ,そのお金を同じ手口でだまし取られたという人も決して少なくないのです。
これを読まれた方は,「そんなバカな。」と思われるかも知れませんが,そういった現実があるのです。
結局,詐欺業者の多くは,そういった判断能力が不十分で相談相手もいないような高齢者を探して接触し,甘い話しをもちかけて,その方の財産を全て奪っていくのです(下品な言い方ですが「骨までしゃぶり尽くす」のです。)。
詐欺商品の「リスク」を判断することもできず,周りの人に相談もできないまま。
何とか,こういった方々を守ることはできないのでしょうか。
投稿者 吉岡 康博 | 2011年1月29日 18:35