吉岡さんの弁護士日記

なにわ総合法律事務所の弁護士 吉岡 康博がつづる弁護士日記

「金融商品110番」という名の投資詐欺にご注意!

私と同じように投資被害の救済に取り組んでいる弁護士から,こんな話しを聞きました。

 

未公開株被害に遭って困っている方のところに,「投資被害の救済活動をしている」と名乗る者から電話がかかり,「依頼をしてくれればよいが,依頼しないと販売集団と共犯だとみなしてあなたにも責任追及していく。」などということを述べたそうです。

その後,その方のところにこんなFAXが届きました。

 

「金融商品110番 未公開株被害 消費者金融被害 全て解決!

金融商品110番よりご紹介頂いたお客様へ

当社,〇〇株式会社は,昭和59年より主に貿易関連会社として発足いたしました。昨今,当社の一般顧客の中でも,未公開株式による金融被害が相次いでおります。

そこで,当社では,この金融被害に対し,被害者の会を発足し,対抗措置を講じております。

当社,被害者の会担当よりお話しをさせて頂いた後,お客様のご意向と合致いたしました際には,当社が発足いたしております,被害者の会にご協力を賜ればと思います。」

 

まず前提として,被害者に代わって加害者である業者と交渉できるのは,資格を持った弁護士や司法書士(司法書士には金額上の制限があります。)に限られます。

市町村の消費者センターが「あっせん」という形で業者と交渉してくれることがありますが,これも条例という根拠に基づいて行われるものです。

「被害者の会」や株式会社は,このようなことができません。

 

このような文書を送ってきた者の真の意図は,もちろん分かりません。

ただ,私が想像するに,未公開株を販売した者と背後でつながっている者が,「金融被害回復」と言って被害者に近づいて自分に依頼させ,少額で示談が成立した形を取ってしまうのではないかと思います。

あるいは,「被害回復」のための「着手金」と題して,高額のお金をさらに詐取しようという目的かも知れません。

いずれにせよ,その方が未公開株の被害に遭ったことを知っていたのは,被害者(+家族)と加害者だけです。

未公開株業者の関連の者が被害者をさらに陥れようとしていたことは,間違いありません。

 

以前の日記で,大阪弁護士会でも投資被害110番を開催することを書きましたが,「110番」がこんなことに利用されているとは・・・。

世の中,一体どうなっているんだろうかと思いました。

投稿者 吉岡 康博 | 2009年1月21日 17:47

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吉岡 康博(よしおか やすひろ)
大阪弁護士会所属

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