吉岡さんの弁護士日記

なにわ総合法律事務所の弁護士 吉岡 康博がつづる弁護士日記

高木証券販売の不動産ファンドの弁護団をしています

高木証券が数年前から販売していた「レジデンシャル-ONE」という投資信託が今,問題になっています。

この商品は,平成15年から継続して販売されてきた商品ですが,その仕組みはだいたい以下のとおりです。

まず,一般投資家から資金を集めますが,これだけでは足りないので,銀行からも借入れをします。
それらの資金を使って,都心の賃貸マンションを購入し,運用を行います。
そして,運用期間経過後は,マンションを売却し,その売却代金を償還資金に充てます。
(ここまでなら通常のJ-REITとほぼ同じような仕組みです。)

ところが,このレジデンシャルONEの問題点は,償還をする際に,銀行に対する借入金の返済が優先されていることです。

具体的にいいますと,

1 例えば,投資家から1億円,銀行借入で3億円の合計4億円を不動産購入資金として集めます。

2 4億円を元手に,4億円のマンションを購入し(諸経費やファンド手数料は,便宜上無視して説明します。),賃料収入を上げて,投資家らに分配します。

3 運用期間経過後は,不動産を売却して投資家や銀行に償還します。その際,売却代金が購入資金を上回っていれば,投資家は,キャピタルゲインを得られて儲かるのですが,逆に,不動産価格が下落しているときは,安い値段で不動産を売却し,その売却代金は,まず優先的に銀行借入の返済に充てられます。

4 先の例でいえば,集めた4億円で4億円のマンションを購入したものの,そのマンションの価値が運用期間経過後に3億円に目減りした場合(すなわち,25%下落した場合),売却代金は3億円で,これを銀行に優先的に返済してしまうと,投資家へ償還するお金はなくなってしまいます。

通常,不動産の価格が25%目減りしたら,出資金が25%目減りして帰ってくるというのは,なんとなく理解できそうですが,投資資金のすべてが吹っ飛んでしまうというのは,ちょっと想像も付かないのではないでしょうか。

実際にも,高木証券がレジデンシャル-ONEを販売する場面では,そのように投資家が不動産相場の下落の何倍もの損失を被る危険性のあることは,説明されてきませんでした。

その結果,この商品は,賃料収入による配当を目的とした安全志向の個人投資家が大量に購入することとなってしまったのです。

現在,弁護団では,レジデンシャル-ONEの購入により損失を被った人を原告として,大阪地方裁判所へ提訴をし,訴訟が進行中です。

今後,このブログでも可能な限り情報を提供する予定です。

また,引き続き,高木証券のレジデンシャル-ONEを購入されて同じような被害を被られた方の相談をお受けしていますので,私の事務所のホームページの予約フォームからお申し込み下さい。

投稿者 吉岡 康博 | 2009年6月23日 20:55

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吉岡 康博(よしおか やすひろ)
大阪弁護士会所属

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